AI でエロ絵を描けるようになったあと、いちばん多い不安が「これ売って大丈夫?」です。答えはモデル名だけで決まりません。チェックポイントの LICENSE、LoRA の条件、生成物の扱い、販売サイトの規約を重ねて見る必要があります。
この記事は法的助言ではありません。ライセンスは更新されるので、Hugging Face / GitHub / 公式サイトの原文を自分で開く前提で読んでください。関連するモデル解説は Pony、Illustrious / NoobAI、SDXL vs FLUX、販売は FANZA同人 AI CG、サービス比較は NSFW AI 完全ガイド も参照してください。
AIモデルのライセンスの基本
1. モデル本体のライセンス
重みをダウンロードして推論・学習・再配布するときの約束です。商用利用の可否、派生モデルの公開義務、禁止用途(未成年搾取など)がここに書かれます。
2. 生成物(Output)の扱い
多くの拡散モデル系ライセンスは、「出力画像自体はこのライセンスの対象外」と書くか、別条項で利用者に委ねます。モデルが商用可でも、出力に写った第三者の権利は消えない点に注意してください。
3. プラットフォーム規約
FANZA同人・DLsite・BOOTH などは AI 明記や禁止表現があります。モデルが OK でもサイトが NG なら売れません。
4. 著作権・肖像
日本を含む各国で、AI 生成物の著作物性や学習データの議論は続いています。弁護士でも見解が分かれる領域は、そう書いた方が誠実です。
主要モデル別の整理(必ず自分の版で再確認)
以下は執筆時点で公式・モデルカードに見られる案内の要約です。断定が必要な条項は原文を読んでください。
Stable Diffusion 1.5 系
- よく見られる表示: CreativeML Open RAIL-M
- 商用利用を認める一方、禁止用途(犯罪・未成年搾取など)を定めるタイプ
- 細目は Stability 系の RAIL 文書を確認
SDXL 系
- よく見られる表示: CreativeML Open RAIL++-M
- 1.5 と同様に商用利用と倫理的制限のセット、という理解が一般的
- 派生のコミュニティモデルは、ベースが RAIL でも追加制限が付くことがある
Pony Diffusion V6 XL
- モデルカード上、modified Fair AI Public License 1.0-SD と案内されることが多い
- ベースの FAIPL 1.0-SD は、派生モデルのソース提供・同一ライセンスでの提供、Output はライセンス対象外、禁止用途リスト、などを含む
- Pony 側の改変として、有料の推論サービス(paid inference 等)への利用制限や、商用推論は作者連絡・特定プラットフォームへの明示許可、といった文言がモデルカードに付く例がある
- 「画像を同人として売る」と「API で有料生成させる」は別論点。条文を用途に当てはめること
詳細な使い方は Pony Diffusion 完全解説 へ。
Illustrious / NoobAI
- バージョンでライセンス表示が違うのが最大の落とし穴
- 初期の Illustrious XL 系: fair-ai-public-license-1.0-sd と案内され、派生のオープンさや非クローズドを求める説明があった
- 後続バージョンでは CreativeML Open RAIL 系への再配布・表示変更の案内も見られる
- NoobAI など派生も、親モデルと作者ページの両方を見る
- 「Illustrious なら全部同じ」は危険。チェックポイントのページを開く
FLUX.1 系
dev と schnell で条件が違うのが要点です。
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FLUX.1 [dev]
- 公式に FLUX.1 [dev] Non-Commercial License がある
- モデルの利用は Non-Commercial Purpose に制限され、商用・プロダクション用途には Black Forest Labs への別ライセンス取得を求める旨が書かれている
- Outputs については、利用者に権利を主張せず、商用を含む利用を認める条文がある一方、競合モデルの学習への利用禁止など例外もある
- 「生成画像を売ること」と「商用サービスとして dev を回すこと」を混同しない
-
FLUX.1 [schnell]
- 別ライセンス(Apache 2.0 で提供されている系統として案内されることが多い)
- 必ず自分が見ているリポジトリの LICENSE を確認すること。世代で変わる
比較の技術面は SDXL vs FLUX.1 へ。
Stable Diffusion 3 系
- Community License など、Stability 側の専用条件が付く世代がある
- パラメータ規模や用途で商用条件が分かれる案内があった時期もある
- うろ覚えで「SD3 は全部商用可/不可」と書かない。公式の対象モデル表を見る
Wan 2.1(動画)
- Hugging Face 上の Wan 2.1 系ウェイトに Apache 2.0 表示がある例が多い
- Apache 2.0 は商用利用を広く認める一方、帰属表示などの条件がある
- 動画に乗せた音声・実在人物・LoRA の条件は別
Fair AI Public License 1.0-SD の要点
原文は freedevproject.org/faipl-1.0-sd です。実務で意識しやすい点だけ挙げます。
- Output はライセンス対象外(「生成画像の著作権を作者が主張しない」方向の文言)
- 派生モデルにはソース提供や、同等の自由を許すライセンスでの提供などの Notices 義務
- ネットワーク経由で触らせる場合のソース提供義務
- Prohibited Uses(違法行為、未成年への害、差別的用途など)。成人向け表現そのものが全面禁止と書かれているわけではないが、違法・加害目的は不可
- SD 互換の禁止用途があるため「完全な自由ソフトウェアライセンスではない」と前文で説明されている
Pony のように さらに改変条項が乗る場合は、FAIPL 本文だけでは足りません。
FLUX.1 [dev] と Outputs の読み方
公式 LICENSE の構造はざっくり次です。
- モデルと Derivative の利用 → 非商用目的に限定(商用は別契約)
- Outputs → 原則として利用者側。商用利用を認める文言あり
- ただし競合モデルへの学習利用禁止、違法コンテンツ、未成年性的コンテンツなど禁止
したがって、「dev で個人的に生成した画像を同人として売る」解釈と、「dev を使った商用 API」は結論が分かれやすいです。迷ったら BFL の商用ライセンス窓口や弁護士に確認し、schnell や商用条件が明確なモデルへ切り替えるのも手段です。
LoRA / Textual Inversion のライセンス
- ベースモデルの条件を破らない(dev 禁止の商用推論に LoRA を足しても救済されない)
- LoRA 作者の表記(Civitai の Permission: 商用可/画像販売可/クレジット要 等)
- 学習元が特定キャラ・実在人物でないか。二次創作ポリシーと肖像
「LoRA は薄いから自由」は誤りです。販売パイプラインに入る LoRA を一覧化し、一つでも NG なら外すのが安全です。
販売時の実務チェックリスト
- 使った checkpoint の正式名とバージョンを書く
- そのページの LICENSE / モデルカードを保存(スクショや URL)
- 使った LoRA・埋め込み・ControlNet 重みを全部列挙
- それぞれ商用・再配布・クレジット条件を表にする
- 一つでも不明・不可なら、その要素を外して再生成
- 販売サイトの AI 明記・禁止表現を満たす
- 実在人物・未成年に見える表現がないか最終確認
FANZA同人での出し方は AI CG集ガイド が近いです。
著作権とライセンスは別物
- モデルライセンスを守っても、出力が第三者の商標・キャラ・写真に寄れば別問題
- 逆に、著作物性が弱いとされる生成物でも、契約・規約・不正競争の議論は残り得る
- 学習データの適法性はモデル作者側の問題と、利用者が追加で学習したデータ側の問題が二重になる
「生成したから自分の著作物で自由」と単純化しない方が安全です。
マージモデル・盛り合わせチェックポイントの落とし穴
人気の「盛り合わせ checkpoint」は、中に Pony 系・Illustrious 系・独自追加が混ざっていることがあります。カードに書いてあるライセンスが親の一つだけ、という雑な表記もあるので、可能なら次を確認します。
- merge レシピや使用モデル一覧
- 各親モデルのライセンス
- 作者が「商用不可要素を含む」と書いていないか
レシピが非公開で親が不明なら、商用販売用途では使わない方が安全です。趣味の生成と、売上の立つ生成でモデルを分ける運用も有効です。
Civitai / Hugging Face の読み方
- License フィールドだけでなく、モデル説明文の追加条項を読む
- 「Commercial use: Yes」でも、画像販売と有料APIで意味が違うことがある
- 古いバージョンのページと最新版で LICENSE が変わっていないか見る
- ダウンロードしたファイル名とページのバージョンが一致しているか
スクショを残しておくと、後から「当時はこう書いてあった」と辿りやすいです。
よくある勘違い
「オープンソースだから何をしてもいい」
RAIL や FAIPL、Non-Commercial は、いずれもただのパブリックドメインではありません。
「生成画像は全部自分の著作物」
著作物性の議論は地域で分かれ、第三者の権利も残ります。
「LoRA は作者が商用可と言っているからベースは無視していい」
ベースが非商用なら、その上の LoRA も用途が縛られます。
「FANZAが通したからライセンスもクリア」
プラットフォーム審査とモデルライセンスは別です。
実務シナリオ
趣味で生成してTwitterに載せるだけ
それでもモデルの禁止用途(違法・未成年性的など)と、実在人物・既存キャラの問題は残ります。商用条項は緩く見える場合でも、出力の内容には注意してください。
同人CG集をFANZAで売る
- 商用条件が説明できる checkpoint に固定する
- LoRA を最小限にし、作者許諾を表にする
- AI 明記とサイト規約を満たす
- 実在人物・未成年に見える表現を排除する
生成APIを有料で提供する
Pony の改変条項や FLUX.1 dev の非商用条項に特に触れやすい利用形態です。個人の画像販売より厳しい読みが必要で、別契約や別モデルが現実的なことが多いです。
免責
この記事は一般情報であり、法律・契約の確定判断ではありません。国・州・時期・利用形態で結論は変わります。売上やアカウントがかかる判断は、公式原文と専門家に頼ってください。ライセンス文は改定されるので、四半期に一度は主要モデルのページを開き直すくらいでちょうどよいです。
海外販売・複数プラットフォーム
国内同人だけでなく、海外マーケットに出す場合は、モデルライセンスに加えて現地の規約と年齢制限、決済事業者のポリシーが重なります。ライセンスが「商用可」でも、プラットフォームがAI成人向けを禁止していることがあります。出稿先ごとにチェックリストを複製し、同じファイルを使い回すときも条件の一番厳しい方に合わせてください。
ライセンス確認にかけた時間は、後から作品を削除する手間に比べれば短い投資です。
まとめ
エロ絵を売るときのライセンス確認は、人気モデル名の暗記ではなく、今使うファイルの LICENSE を開く作業です。Pony は FAIPL 改変、Illustrious は版で表示が違う、FLUX.1 dev は非商用のモデル条件と Outputs 条項の両読み、SDXL/RAIL は禁止用途付きの商用可、Wan 2.1 は Apache 2.0 表示が多い——いずれも自分の版で再確認が前提です。
LoRA を一枚でも足したらリストに追加する。不明なら売らない。その習慣が、いちばん安上がりの事故防止です。
記録用テンプレ(コピーして使う)
作品ごとに次を埋めると、後から追跡しやすくなります。
- 作品タイトル / 販売予定日
- checkpoint 名 / バージョン / URL / ライセンス名
- LoRA 名と URL、作者の商用条件
- その他の埋め込み・補助モデル
- 生成日時と主なプロンプトの保存場所
- 販売サイトでの AI 表記文面
フォルダを作品単位で分け、LICENSE の PDF やスクショを同梱しておくと、問い合わせや規約変更のときに助かります。
迷ったときの判断フロー
- 公式 LICENSE が読めない・見つからない → そのモデルで売らない
- 非商用と明記 → 趣味利用に限定するか、商用可能な別モデルへ
- 条件付き商用(クレジット、派生公開など) → 条件を守れるか確認
- 改変条項が複雑(Pony の有料推論制限など) → 「画像販売」か「サービス提供」か切り分ける
- それでも不安 → 専門家に相談するか、条件が明確なモデルへ寄せる
早く売りたい気持ちより、後から全作品を下ろすコストの方が大きいです。最初の一本でライセンスを固める時間が、いちばんコスパの良い投資になります。





