Civitaiでアニメ寄りのNSFWを漁っていると、モデル名に「Pony」が付いたものが何度も出てきます。まだ主流のひとつとして残っているのに、「スコアタグって何?」「Illustriousとどっち?」で止まっている人も少なくないはずです。
この記事では、Pony Diffusionが何者か、他モデルとの棲み分け、独特のプロンプト、派生、LoRA、ライセンスまでを一通り通します。導入の細かいクリック操作までは踏み込みません。そこは既存の導入記事に任せます。
Pony Diffusionとは何か
Pony Diffusionは、SDXLをベースにしたアニメ/二次元寄りのチェックポイント系統です。写実寄りのSDXLより、線・塗り・キャラクターの見た目が二次元イラストに寄ります。NSFWタグや露骨な構図への反応も比較的素直で、成人向けの連作や同人CGを作る人の定番になってきました。
「Pony」と一口に言っても、原版だけでなくマージやファインチューンの派生が大量にあります。実際に手元で使うのは、派生のどれかであることがほとんどです。ベースの思想(スコアタグ・source/ratingの文化)は共有しているので、まずは本家寄りの流儀を覚えておくと、派生に乗り換えても困りにくいです。
ファイルはCheckpoint(safetensors)として配布されています。WebUIなら models/Stable-diffusion、ComfyUIなら models/checkpoints に置き、UIから選ぶだけで使えます。環境構築の手順は次を見てください。
他モデルとの違い(Illustrious / NoobAI / FLUX)
2026年時点のアニメ系は、ざっくり次のように分かれます。
| 系統 | 向き | プロンプトの傾向 | LoRA資産 | NSFW耐性 |
|---|---|---|---|---|
| Pony系 | アニメ/半写実/NSFW | スコア・source・ratingタグ必須級 | 厚い(Pony対応が多い) | 強い |
| Illustrious / NoobAI | 現行アニメの主流 | Danbooruタグ中心で素直 | 増加中(対応表記の確認要) | モデルによる |
| 写実寄りSDXL / FLUX | 写真・リアル寄り | 自然文または通常タグ | 別系統 | モデルによる |
「どれが絶対に正しい」はありません。判断の軸を用途別に整理すると次の通りです。
- 既にPony用LoRAを何本も持っている → 資産を活かせるPony系のまま続ける
- これからゼロで始めるアニメNSFW → PonyとIllustriousの両方の作例を見比べてから決める(Illustrious / NoobAI完全解説2026)
- 半写実・エロリアル寄りを狙う → Pony系の写実派生(CyberRealistic Pony、Pony Realism系)を候補に
- 完全に写真寄り → SDXL写実系またはFLUXへ。Pony系ではない(SDXL vs FLUX.1 比較2026)
- 自然文の長いプロンプトで書きたい → タグ文化のPonyよりFLUXの方が向く
Pony系は「タグの言語で書く」のが前提です。FLUXの「文章で書く」流儀を持ち込んでもタグ側が反応しないので、書き分けが必要です。
独特のプロンプト記法
Pony系がいちばんとっつきにくいのがここです。普通の「1girl, long hair…」だけでも絵は出ますが、スコア系を足したときの安定感が違うことが多いです。
スコアタグ(score_9 など)
よく見る並びは次のようなものです。
score_9, score_8_up, score_7_up, score_6_up,
1girl, solo, looking at viewer, ...
ざっくりした意味はこうです。
score_9… 高品質寄りの生成を強く促すscore_8_up/score_7_up… 「そのスコア以上」をまとめて指定する書き方- 数字が下がるほど、品質の足切りが緩くなるイメージ
厳密な中身は学習データのラベル設計に依存しますが、運用としては「ポジティブの先頭付近に置く」で十分です。付け忘れたまま「なんか平凡」と感じている人は、まずここを疑ってください。
ソースタグ(source_anime など)
画風の系統を寄せるためのタグです。代表例だけ挙げます。
source_anime… アニメ寄りsource_cartoon… カートゥーン寄りsource_furryなど … 特定ジャンル寄り(必要なときだけ)
全部並べる必要はありません。狙いに近いものを1つ足すくらいが扱いやすいです。
レーティング(rating_explicit / rating_safe など)
露骨さの方向を指定するタグです。
rating_safe… 健全寄りrating_questionable… 際どいが露骨ではない寄りrating_explicit… 成人向け・露骨寄り
NSFWを出したいのに rating_safe を残している、逆に健全サムネを作りたいのに rating_explicit だけが入っている、といった食い違いはよくあります。スコアタグとセットで、意図と揃えてください。
タグの順番と重み付け
基本は次の順で十分です。
- スコアタグ
- source / rating
- 人数・構図(1girl, solo, from above など)
- 外見・服装・表情
- シチュエーション・背景
- 品質補助(masterpiece などは好みで。Ponyではスコアの方が効くことが多い)
特定の要素を強くしたいときは (long hair:1.2) のように重みを付けます。ただし 1.3 を超える指定を連発すると破綻しやすいので、まずは 1.1〜1.2 から様子を見てください。タグの語彙そのものは プロンプト逆引き辞典 も併せて使うと速いです。
スコアタグを付けたとき/付けないときの違い
同じseed・同じ他タグでスコアタグだけ抜くと、次の違いが出やすいです。
- 塗りが薄くなる、線が眠くなる
- キャラの立体感が減る(平面のイラスト風になる)
- 顔のパーツ配置が甘くなる
- 背景の描き込みが減る
「なんとなく古い感じ」「作例と比べて質感が違う」と感じたら、まずポジティブ先頭のスコアタグとネガの score_4, score_5, score_6 の両方を確認してください。片方だけだと効きが半分です。
テンプレプロンプト(最小と実務)
自分用の起点があると迷いません。以下は「最小テンプレ」と「実務テンプレ」の2種です。派生モデルによって強弱があるので、まずコピーして走らせ、seedを固定して1要素ずつ調整してください。
最小テンプレ(動作確認・比較用)
score_9, score_8_up, score_7_up,
source_anime, rating_explicit,
1girl, solo, looking at viewer, simple background
まずこれで絵が出るかを確かめます。ここに要素を足していきます。
実務テンプレ(連作の起点)
score_9, score_8_up, score_7_up, score_6_up,
source_anime, rating_explicit,
1girl, solo, looking at viewer,
(long silver hair:1.1), red eyes, mole under left eye,
small breasts, black sailor uniform, red ribbon,
bedroom, soft indoor light, from front,
detailed skin, cinematic lighting
順番は「スコア → source/rating → 人数・視線 → 外見 → 服装 → シーン → 質感」の並びが扱いやすいです。要素を追加するときも、この構造の該当ブロックに追記していくと、あとで見返して直しやすいです。
タグの語彙は プロンプト逆引き辞典、シチュや衣装のパターンは各プロンプト辞典系の記事から補ってください。
ネガティブプロンプトの定番
Pony系では、ネガティブにもスコアを入れる流儀が一般的です。
score_4, score_5, score_6,
lowres, bad anatomy, bad hands, missing fingers, extra digits,
fewer digits, cropped, worst quality, low quality, jpeg artifacts,
blurry, watermark, signature, text
ポイントは、低いスコアをネガ側に置くことです。ポジティブで高スコアを呼び、ネガティブで低スコアを遠ざける、という対称になっています。
これに加え、手や指が崩れるときは bad hands や ADetailer 側の対策を併用します。ADetailer で顔と手を自動修正する運用は、Pony系でも効果が大きいです。詳しくは ADetailer完全ガイド と ネガティブプロンプト完全ガイド を参考にしてください。
派生モデルのざっくり傾向
「Pony」名のモデルは無数にありますが、よく話題に出る系統のイメージだけ掴んでおけば足ります。
- AutismMix 系 … アニメ寄りで色や線がはっきりしやすく、一般的な二次元イラスト用途で選ばれやすい
- CyberRealistic Pony 系 … 名前のとおりリアル寄り。アニメ一色ではなく、半写実〜写実のテクスチャを出したいときに候補になる
- Pony Realism 系 … より写真寄りの質感を狙う派生。プロンプトやLoRAの相性は配布ページの作例に合わせる
同じ「Pony」でも、推奨ステップ数・CFG・VAEが違うことがあります。ダウンロードページの推奨設定を一度はコピーしてから、自分用に微調整するのが安全です。ランキング上位だけ見て入れると、自分の用途(アニメかリアルか、健全かNSFWか)とずれるので、作例ギャラリーを先に眺めた方が早いです。
モデルの探し方と評価の見方は Civitai完全活用ガイド2026 にまとめています。
相性の良いLoRA
PonyでLoRAを使うときの鉄則はシンプルです。
- 「Pony対応」と明記されたものだけを使う
- SD1.5用は混ぜない
- 「SDXL用」でもPony非対応の可能性があるので、説明文を読む
- 最初は1本、重み 0.6〜0.8 から
キャラ固定用、衣装用、シチュ用、画風用など、役割を分けて足していくと破綻が減ります。選び方の判断軸は LoRA選び方ガイド、成人向けLoRAの探し方は NSFW LoRAの探し方・使い方 を見てください。
「LoRAを載せたら顔が溶ける」ときは、重みを下げる・対応ベースを確認する・プロンプトの重複タグを減らす、の順で直します。上げ続けても改善しないなら、そのLoRAがモデルと合っていない可能性が高いです。
ライセンスの注意
Pony系統の配布では、Fair AI Public License など、通常の「自由に使ってよい」と単純に言い切れないライセンスが付いていることがあります。特に、
- モデル自体の再配布
- マージや微調整した派生の公開
- 商用サービスへの組み込み
といった用途では、条件を読み飛ばすとトラブルになります。
ここは記憶やブログの要約で断定しないでください。今ダウンロードしようとしているファイルの配布ページに書かれた最新ライセンスを読んでください。派生ごとに文言が違うのも普通です。
商用利用について
「生成した画像を同人誌やBOOTHで売ってよいか」は、次が別問題です。
- モデルのライセンスが生成物の商用を許しているか
- 使ったLoRAのライセンスが許しているか
- 実在人物・既存キャラ・権利物を含んでいないか
- 販売プラットフォーム側のAI生成物ルール
ベースがOKでも、LoRAがNGならその組み合わせは使えない、というのが実務です。法的な考え方の土台は AI画像生成の著作権・法律ガイド2026 を参照しつつ、最終判断は各配布ページと販売先規約で行ってください。
導入と使い方(最小手順)
- 配布ページから safetensors を入手する(ライセンスとハッシュを確認)
- Checkpoint フォルダに配置する
- WebUI / ComfyUI でモデルを選択する
- 推奨VAEがある場合は指定する(指定が無ければモデル内蔵や常用VAEを試す)
- スコアタグ入りの短いプロンプトでテスト生成する
- 問題なければLoRAを1本だけ足す
解像度はSDXLなので 1024 前後が基本です。小さく出してから Hires.fix やアップスケールで伸ばす運用でも構いません(Hires.fix・アップスケール完全ガイド2026)。
推奨設定の目安
派生モデルの配布ページに推奨値があれば、そちらを最優先で試してください。何も情報が無い場合の起点として、次の値が扱いやすいです。
| 項目 | 起点となる値 | 補足 |
|---|---|---|
| 解像度 | 1024×1024(人物寄りなら 832×1216 など縦長) | SDXLベース。低解像度は破綻の元 |
| Steps | 25 前後 | 20〜30が実用域。50以上は費用対効果が薄い |
| CFG Scale | 5〜7 | 上げすぎると色が焼ける。10超は避ける |
| Sampler | DPM++ 2M Karras 系 | 派生によって Euler a などが指定されることも |
| Clip Skip | 2 | Pony系は 2 の慣習が多い |
| VAE | 派生の推奨があればそれ | 未指定なら内蔵・常用VAEで様子見 |
一気に全部の値を振らず、seedを固定して1要素ずつ動かすのが原則です。Sampler・CFG・Stepsの詳細は Sampler・CFG Scale・Stepsの最適値2026 に整理しています。
VAEを変えると色が別物になることがあるので、色が濁る・眠いと感じたら VAEガイド を参照してください。
よくある失敗
スコアタグを付け忘れて画質が上がらない
いちばん多いです。ポジティブ先頭に score_9, score_8_up, score_7_up を足すだけで印象が変わることがよくあります。ネガティブ側の score_4, score_5, score_6 もセットで入れてください。
SD1.5用LoRAを混ぜて絵が壊れる
アーキテクチャが違うので、効かないか、ノイズだらけになります。「お気に入りの古いLoRA」は、Pony用に作り直すか、対応ベースのモデルへ戻してください。
推奨VAEを使わず色が濁る
派生によっては特定VAEが前提です。色がくすむ・コントラストが弱いときは、配布ページのVAE指定を確認してください。VAE全般の基礎は VAEガイド も参考になります。
タグを盛りすぎて何も効かない
スコア、source、rating、品質ワード、長い服装説明、LoRAトリガーを一度に全部入れると、衝突します。まずスコア+人数+外見の短いプロンプトで基準画像を作り、そこから1要素ずつ足すと原因が分かります。
Illustrious用プロンプトをそのまま流用する
タグ文化は近い部分もありますが、スコア/source/ratingの有無が違います。流用するなら、Pony用の先頭ブロックを足し直してください。
実務でのおすすめの進め方
- 派生を1つに決めて、1週間はそれだけ使う
- スコアタグ付きの自分用テンプレを保存する
- LoRAは「Pony対応」だけをフォルダ分けする
- 連作で顔を固定したくなったらキャラLoRAや参照系に進む
キャラをシリーズで固定したい場合は、モデル理解の次に「固定の仕方」が必要になります。その話は別記事の領域なので、連作を始めるタイミングで制作ノウハウ側のガイドも読んでください。
また、派生モデルを1つに決める段階で、そのモデルの商用許諾も一緒に確認しておくと後戻りがありません。Civitaiの表示はベースモデルのライセンスに左右されるため、見方は Civitaiの商用可否とNSFW制限を読む2026 にまとめました。
まとめ
Pony Diffusionは、SDXLベースのアニメ/二次元寄りモデルとして、今でもNSFW制作の選択肢に残っています。強みは資産の厚さと、スコアタグを軸にした運用の型です。弱みは、記法が独特なことと、派生・ライセンスがバラバラなことです。
覚える優先順位は次の通りです。
- スコア・source・rating の基本形
- ネガティブに低スコアを入れる
- Pony対応LoRAだけを使う
- 配布ページでライセンスと商用条件を毎回確認する
ここまで押さえれば、「名前は見るけど使い方が分からない」状態は大体抜けます。あとは作例を真似しつつ、自分のテンプレに落としていけば十分です。





