はじめに:GPUなしでも始められる
AI画像生成を始めようとして「RTX 4090が必要らしい…」という情報を見て諦めてしまった方は少なくないはずです。しかし実際には、Google Colaboratory(Colab) を使えばGPUを持っていなくてもブラウザだけでAI画像生成ができます。
Google Colabは、Googleが提供するクラウドJupyterノートブック環境です。無料プランでもNVIDIA T4 GPUが使用でき、Stable Diffusionを動かすことができます。
Google Colabとは
Google Colabは、Googleのサーバー上でPythonコードを実行できるサービスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | Google Colaboratory(Colab) |
| 提供 | Google LLC |
| 価格 | 無料プランあり(有料オプション:Colab Pro/Pro+) |
| GPU(無料) | NVIDIA T4(約16GB VRAM) |
| URL | colab.research.google.com |
| 必要なもの | Googleアカウントのみ |
Colabではノートブック形式でコードを書き、セルごとに実行します。Stable DiffusionのインストールコードをColabで実行すると、そのGoogleのサーバー上にSDが起動し、URLを通じてブラウザからWebUIにアクセスできます。
2026年時点の無料枠と制限
Google Colabの無料枠には以下の制限があります。
| 制限項目 | 内容 |
|---|---|
| 連続使用時間 | 約4〜6時間(アクティブでない場合は短縮) |
| GPU使用量 | 1日あたりの使用量に上限あり(超えるとGPU利用不可) |
| RAM | 約12GB |
| ディスク | セッション中のみ(セッション終了でリセット) |
| Google Drive連携 | 可能(ストレージとして使用) |
重要な点:セッションが終了するとインストールしたファイルはすべて消えることです。毎回モデルのダウンロードから始めると時間がかかるため、後述のGoogle Drive連携が実用上必須です。
Colab Pro / Pro+ の違い
より快適に使いたい場合は有料プランが選択肢になります。
| プラン | 月額 | GPU | 連続使用時間 | バックグラウンド実行 |
|---|---|---|---|---|
| 無料 | 無料 | T4 | 4〜6時間 | 不可 |
| Colab Pro | $9.99/月 | T4 / A100(選択) | 最大24時間 | 可 |
| Colab Pro+ | $49.99/月 | A100 / V100 | 最大24時間 | 可 |
Colab ProのA100はT4の約3〜4倍の性能で、生成速度が大幅に向上します。月10〜20時間程度の利用なら無料枠で十分ですが、日常的に使うならColab Pro(月$9.99)がコスパ良好です。

n*参考イメージ:Colab上でのセットアップ環境*n
WebUI for Colab のセットアップ手順
事前準備
- Googleアカウントにログイン
- Google Driveで作業用フォルダを作成(例:
MyDrive/StableDiffusion/)
ステップ1:新しいノートブックを開く
colab.research.google.com を開き、「新しいノートブック」を作成します。
ステップ2:GPUランタイムに切り替える
メニュー → ランタイム → ランタイムのタイプを変更 → T4 GPU を選択 → 保存
ステップ3:Google Driveをマウント
from google.colab import drive
drive.mount('/content/drive')
実行すると認証画面が出るので、Googleアカウントで許可します。
ステップ4:必要なツールのインストール
!apt-get install -y wget git python3 python3-pip
!pip install -q torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu118
ステップ5:AUTOMATIC1111 WebUIのインストール
import os
os.chdir('/content')
# WebUIのクローン(Google Driveへ)
!git clone https://github.com/AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui.git /content/drive/MyDrive/StableDiffusion/webui
os.chdir('/content/drive/MyDrive/StableDiffusion/webui')
ステップ6:モデルのダウンロード
# モデルをGoogle Driveに保存(次回以降の再ダウンロード不要)
model_dir = '/content/drive/MyDrive/StableDiffusion/webui/models/Stable-diffusion/'
os.makedirs(model_dir, exist_ok=True)
# 例:Realistic Vision v6のダウンロード(Civitai等から取得したURLを使用)
!wget -O "{model_dir}model.safetensors" "https://モデルのURL"
ステップ7:WebUIの起動
!python launch.py \
--share \
--xformers \
--no-half-vae \
--skip-torch-cuda-test
--share オプションを付けると xxxxx.gradio.app 形式のURLが生成され、そのURLからブラウザでWebUIにアクセスできます。
NSFW生成のためのコンフィグ設定
デフォルトではNSFWフィルターが有効になっています。解除するには起動時に以下のオプションを追加します。
!python launch.py \
--share \
--xformers \
--no-half-vae \
--skip-torch-cuda-test \
--no-hashing \
--api
また、WebUI起動後に設定画面から「Safe for work filtering」をオフにすることもできます。
よくあるエラーと対処法
エラー1:OOM(Out of Memory)
原因:VRAMが不足している 対処:
# 起動オプションに追加
--medvram # VRAMを節約するモード
--lowvram # さらに節約(速度低下あり)
エラー2:ランタイムが切断された
原因:長時間操作しないと自動切断される 対処:生成中はタブをアクティブにしておく。長時間の作業はColab Proを使う
エラー3:GPU利用制限に達した
原因:その日の無料GPU使用量を使い切った 対処:翌日に持ち越す。またはColab Proにアップグレード
エラー4:モデルが見つからない
原因:Google DriveにマウントしたがパスがWebUIに認識されていない 対処:モデルパスを正しく設定する。シンボリックリンクを使う
import os
os.symlink(
'/content/drive/MyDrive/StableDiffusion/webui/models',
'/content/stable-diffusion-webui/models'
)
セッションが切れてもモデルを残す方法(Google Drive活用)
Colabのセッション終了でローカルファイルは消えますが、Google Driveに保存したファイルは残ります。
推奨フォルダ構成
Google Drive/
└── StableDiffusion/
└── webui/
├── models/
│ ├── Stable-diffusion/ ← モデル
│ └── VAE/ ← VAE
├── extensions/ ← 拡張機能
└── outputs/ ← 生成済み画像
WebUIのインストール先をGoogle Driveにすることで、次回起動時はリポジトリのクローンとモデルダウンロードをスキップできます。
Colabとローカル環境・有料クラウドの使い分け指針
| 状況 | 推奨 |
|---|---|
| GPUなし、まず試したい | Google Colab 無料 |
| 月数時間の生成で十分 | Google Colab 無料 |
| 毎日使いたい | Colab Pro またはクラウドサービス |
| LoRA学習もしたい | Vast.ai / RunPod(GPUレンタル) |
| 快適に日常使いしたい | ローカルGPU購入 |
Google Colabは「とにかく始めてみたい」という入門期に最適な選択肢です。まずはColabで基本を覚えて、「もっと本格的に使いたい」と思ったタイミングでローカル環境や有料クラウドへ移行するのが現実的なステップアップの流れです。