はじめに:AI動画生成の民主化
Runway Gen-3 や Kling AI といった商用サービスがAI動画生成をリードしてきた一方で、2025年以降はオープンソースの動画生成モデルが急速に追いついてきました。その中で継続して評価を集めているのが Wan 系 です。
Wan 系はオープンソースの動画生成モデルとして高い評価を受けており、ComfyUIとの組み合わせでローカル環境でも十分実用的な動画が生成できるようになっています。
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Wanとは
Wan は、Alibaba(阿里巴巴) が開発しオープンウェイトで公開しているAI動画生成モデルです。2.1 から始まり、現在は 2.2 系が配布されています。「Wan」は中国語で「万(よろず)」に由来し、汎用性の高さを表しています。
特徴
- テキストtoビデオ(T2V):テキストプロンプトから動画を生成
- 画像toビデオ(I2V):静止画を動かして動画にする
- オープンウェイトで商用利用可能なライセンス
- 中国語・英語両対応のプロンプト
- AnimateDiffと比べてより自然な動きを生成
Wanのバリアント
Wanは世代とバリアントの組み合わせで配布されています。まず世代、次に用途、の順で選びます。
2026年8月時点で入手できるオープンウェイトは 2.2 系までです。 それ以降の世代も存在しますが、重みの公開は確認できていません(後述)。
2.2 系(現行)
| モデル | 規模 | 用途 |
|---|---|---|
| Wan2.2-TI2V-5B | 5B | テキスト・画像の両方に対応した統合版。最も広く使われている |
| Wan2.2-I2V-A14B | 14B級 | 画像→動画 |
| Wan2.2-T2V-A14B | 14B級 | テキスト→動画 |
| Wan2.2-Animate-14B | 14B級 | 動きの再現に寄せた版 |
| Wan2.2-S2V-14B | 14B級 | 音声を伴う生成 |
最初の1つを選ぶなら TI2V-5B です。 規模が小さく、テキストからも画像からも生成できる統合版なので、用途ごとにモデルを入れ替える必要がありません。配布実績もこの系統で最も多くなっています。
2.1 系(旧世代)
| モデル | 規模 | 用途 |
|---|---|---|
| Wan2.1-T2V-1.3B | 1.3B(13億) | テキスト→動画(軽量) |
| Wan2.1-T2V-14B | 14B(140億) | テキスト→動画 |
| Wan2.1-I2V-14B-480P / 720P | 14B(140億) | 画像→動画 |
いま新規に始めるなら 2.2 系からで構いません。 2.1 の軽量版(1.3B)はいまも使われていますが、2.2 の 5B が同じ「軽い側」の枠を埋めています。
それ以降の世代について
2.2 より新しい世代も存在しますが、重みの公開は確認できていません。 名前を見かけても、手元で動かせるとは限りません。
この記事が扱うのはオープンウェイトで入手できるものです。クラウド側のサービスとして提供されている世代は、料金と規約が別の話になります。商用サービス側の比較は AI動画ツール比較2026 を参照してください。
ライセンス
Wan 系はいずれも Apache 2.0 で配布されています。 動画生成のオープンウェイトとしては条件が緩い部類で、商用利用の判断が単純になります。この点は選定理由として大きいです。
ライセンス全般の読み方は AIエロ絵の商用ライセンス完全整理2026 を参照してください。
動作要件
動画生成は静止画より大幅に重い、というのが出発点です。静止画が数秒で出る環境でも、動画は分単位になります。
| VRAM | 現実的な選択 |
|---|---|
| 8GB | 小規模モデルの量子化版から。まず動くことを優先する |
| 12GB | 小規模モデルが扱いやすい帯 |
| 16GB | 中規模まで候補に入る。解像度と長さで調整 |
| 24GB以上 | 大きいモデルも選べる |
所要時間は環境差が大きすぎて一般化できません。 GPU・解像度・フレーム数・サンプリング設定のどれもが効くので、まず短く小さく試して、自分の環境での実測を取るのが確実です。
量子化版の選び方は 量子化モデル完全ガイド2026 にまとめています。動画モデルも画像モデルと同じ形式が使えます。
ComfyUIでのセットアップ手順
前提条件
- ComfyUI がインストール済み
- ComfyUI-Manager がインストール済み
ステップ1:必要なカスタムノードのインストール
ComfyUI-Managerから以下をインストールします。
ComfyUI-WanVideoWrapper または
ComfyUI_VideoHelperSuite
または手動でインストール:
cd ComfyUI/custom_nodes
git clone https://github.com/kijai/ComfyUI-WanVideoWrapper.git
ステップ2:モデルのダウンロード
Hugging Face からモデルをダウンロードします。
ComfyUI/models/
├── wan/
│ ├── Wan2_1-T2V-1.3B/ ← T2V 1.3B モデルファイル
│ └── Wan2_1-T2V-14B/ ← T2V 14B モデルファイル
└── clip/
└── umt5-xxl-enc-bf16.safetensors ← テキストエンコーダー
ステップ3:ワークフローの読み込み
ComfyUIのGitHubリポジトリや ComfyUI Examples から使う世代に対応したワークフローJSONをダウンロードし、ComfyUIにドラッグ&ドロップで読み込みます。

n*参考イメージ:T2Vで生成されるシーン例*n
テキストtoビデオ(T2V)の使い方
プロンプトの書き方
Wan は英語の自然文と中国語の両方に対応しています。英語での記述が最も安定しています。
Stable Diffusionのようなタグ形式より、動きや状況を描写する文章形式が効果的です。
A young woman in a white dress walks slowly through a sunlit forest, her hair flowing in the breeze, dappled light filtering through the trees
動きを明示するコツ
静止した描写より、動作・変化を含む文章の方が動画らしい出力になります。
(静止寄り)A girl standing by the window
(動き寄り)A girl slowly turns to face the camera by a sunlit window, her hair gently swaying
動画特有のキーワード
smooth camera movement, slow pan, gentle zoom, cinematic motion, natural movement, realistic motion

n*参考イメージ:I2Vの流れをイメージしたビジュアル*n
画像toビデオ(I2V)の使い方
I2Vは静止画を動かすモードです。Stable Diffusionで生成した画像をベースに、その画像が動いている動画を作れます。
I2Vの使いどころ
- お気に入りの静止画をアニメーション化
- キャラクターに表情変化や呼吸などの微細な動きをつける
- 背景を動かして映像的な雰囲気を出す
I2V プロンプトの書き方
ベース画像がある分、細かいキャラクター描写は不要です。どんな動きをするかを中心に記述します。
The character slowly looks up at the camera with a gentle smile, hair moving softly in the breeze
NSFW動画生成のためのコツ
モデルの選択
Wan のベースモデルはSFWですが、ComfyUIのワークフローでネガティブプロンプトなどを調整することで対応可能です。また、コミュニティが Wan 系をNSFW向けにファインチューンしたモデルも公開されています。世代が上がると対応モデルも入れ替わるので、使う世代に合ったものを探してください。
プロンプト設計
NSFWシーンの動画は、静止画の描写 + 動きの描写を組み合わせます。
A woman in lingerie slowly removes her clothing, revealing skin, natural soft lighting, bedroom setting, cinematic
品質向上のポイント
- 短い動画(5秒以内)から始める——長い動画はアナトミー崩れが発生しやすい
- 大きな動きより微細な動き(呼吸、目線移動、髪のなびき)の方が品質が安定する
- I2Vを使って高品質な静止画から動かす方が、T2Vより安定することが多い
動画品質を上げるパラメータ調整
| パラメータ | 推奨値 | 説明 |
|---|---|---|
| Steps | 20〜30 | 多いほど品質向上(時間も増加) |
| CFG | 5〜7 | 高すぎるとアーティファクト発生 |
| フレーム数 | 49〜81フレーム | 約2〜3秒分(24fps換算) |
| 解像度 | 480×832 または 832×480 | VRAMに応じて調整 |
| Motion Strength(I2V) | 0.5〜0.8 | 動きの強さ。高いほど大きく動く |
AnimateDiffとWanの使い分け
| 比較項目 | AnimateDiff | Wan |
|---|---|---|
| 動きの自然さ | 普通〜良い | 非常に良い |
| アニメ系との相性 | ◎ | △ |
| リアル系との相性 | ○ | ◎ |
| VRAM要件 | 低い(8GB〜) | 高め(8〜24GB) |
| 生成速度 | 速い | 遅い |
| LoRA対応 | ◎ | 発展中 |
| カメラ制御 | Motion LoRAで可能 | T2Vでプロンプト指定 |
アニメ系キャラを動かしたいなら AnimateDiff + Illustrious/NoobAI の組み合わせがまだ有利です。リアル系・映像的な品質を求めるなら Wan 系が上回ります。
よくある問題と対処法
問題1:VRAMエラーが出る
対処:1.3Bモデルを使う。量子化モデル(fp8/int8)を使う。フレーム数を減らす
問題2:動きがガクガクする
対処:StepsをFを増やす(25以上)。Motion Strengthを下げる
問題3:キャラが途中で崩れる
対処:短い動画(5秒以内)から始める。大きな動きを避ける。I2Vで静止画をベースにする
問題4:プロンプトが反映されない
対処:より具体的な動きの描写に変える。英語で記述する。CFGを少し上げる





