Wan 2.1 の概要 や AI動画ツール比較 で名前は知ったが、手元の GPU でどう回すかが分からない——その層向けの実践メモです。
ここでは次の2系統を扱います。
- FramePack(github.com/lllyasviel/FramePack)
- ComfyUI 上の Wan 2.1(公式例や kijai/ComfyUI-WanVideoWrapper など)
数値スペックや対応カードは更新が速いので、VRAM や秒数は目安とし、細部は公式 README と自分の環境のログで確認してください。
FramePack とは何か
FramePack は lllyasviel 氏らによる、次フレーム(次セクション)予測型の動画拡散の実装とデスクトップ向けソフトです。論文・プロジェクトページも公開されています。
公式が強調している点は次です。
- 入力コンテキストを一定長に圧縮し、動画が長くなっても負荷が増えにくい構造
- 13B クラスでもノートPC GPU で長いフレーム列を扱える、という説明
- 最小 GPU メモリ 6GB(公式 Requirements)
- 画像を上げてプロンプトを書き、セクションごとに伸びていく GUI
ライセンスや依存の詳細はリポジトリを確認してください。偽サイトへの注意(framepack.co などへの課金誘導)も README に強く書かれています。公式は GitHub の lllyasviel/FramePack のみ、という立場です。
得意・苦手のイメージ
得意になりやすいのは、参照画像を起点にした人物の動き、ダンスやジェスチャなど動きがはっきりしたプロンプトです。公式の sanity check もダンス系が多いです。
苦手・崩れやすいのは、細かい指、急なカメラ、長い尺での顔のドリフト、TeaCache や過度な量子化をオンにしたときの品質低下です。公式も TeaCache が結果を大きく変える例を載せ、「アイデア出しは TeaCache、本番はフル」と勧めています。
ComfyUI で Wan 2.1 を動かす
Wan 2.1 は Alibaba 系の Wan-Video プロジェクトの動画モデル群です。ComfyUI からは主に次の経路があります。
- ComfyUI 公式の Wan 例:ComfyUI_examples の Wan ページ
- コミュニティラッパー:ComfyUI-WanVideoWrapper(kijai 氏)など、WanVideo と関連モデル用ノード
ノード名や必須カスタムノードは週単位で増えるので、「今入っている Wrapper の README と example_workflows」を正にしてください。この記事に固定のノードグラフを書いてもすぐ古くなります。
基本フロー(概念)
- テキストエンコーダ・VAE・Wan 本体(1.3B / 14B など)を取得
- ComfyUI の models 配下の所定フォルダへ配置(公式例または Wrapper の説明どおり)
- 例ワークフローをロード(T2V または I2V)
- プロンプト、解像度、フレーム数、シードを調整
- 必要なら LoRA・Control 系を差し込む
- 書き出してプレビュー
モデルファイルの置き場は「checkpoint フォルダ一択」ではなく、ラッパーごとに diffusion_models や専用サブフォルダを要求することがあります。パスエラーの大半は配置ミスです。
WebUI との比較
Automatic1111 系の WebUI より、Wan 周りは ComfyUI と専用 GUI の情報が多いです。FramePack は Gradio デモ付きの単体ソフトとして動かす想定です。LoRA や前処理を細かく繋ぎたい中級者は ComfyUI、まず公式のまま動かしたい人は FramePack の run から、が迷い少ないです。
VRAM 別の現実解(目安)
公式やコミュニティの体感を雑にまとめると次のようなイメージです。保証ではありません。
| VRAM 目安 | 現実的な入り方 |
|---|---|
| 6GB 前後 | FramePack 公式が言及する下限帯。短い秒数・既定設定から。Wan 14B フルは厳しいことが多い |
| 8GB | 短い I2V、軽量モデル、量子化・CPU オフロード併用を検討 |
| 12GB | 480p 前後の短尺や 1.3B 系が現実的になりやすい |
| 24GB | 14B や長め・高解像度の試行錯誤がしやすくなる |
量子化(bnb、GGUF 等)や TeaCache、sage-attention は速度と引き換えに絵が変わることがあります。FramePack 公式は「まず素のまま」を勧めています。Wan 側も Wrapper の README に fp8 やブロック交換の話が出ることがあるので、落ちたらそこを読む、が定石です。
NSFW 動画生成の実務
成人向けをローカルで試す場合も、未成年に見える性的表現は禁止です。実在人物の顔を無断で動かすのも避けてください。
LoRA の探し方
- Civitai 等で Wan / Wan2.1 / I2V と明記されたもの
- ベースのパラメータ規模(1.3B か 14B か)を合わせる
- 作者のライセンスと利用条件を読む
- いきなり本編尺を回さず、数秒で構図と顔を確認する
破綻しやすい点と対処
- 衣服や体のメッシュが溶ける:動きを控えめに、参照のポーズを安定させる
- 顔が別人:顔が大きい参照、短い尺、同一シードで切り詰め
- チラつき:解像度欲張りをやめる、過度な高速化オフ
- 手指:寄りの構図を避けるか、後から静止画で直す前提
販売や公開は AI動画で稼ぐガイド と 画像から動画へ もあわせて読んでください。
FramePack と 通常 Wan 2.1 の使い分け
| 観点 | FramePack | ComfyUI + Wan 2.1 |
|---|---|---|
| 入り方 | 公式 GUI が分かりやすい | ノードとモデル配置が要る |
| 低VRAM長尺 | 公式が強く推す領域 | 設定と量子化次第 |
| カスタム | 単体ソフト寄り | LoRA・前処理・合成が柔軟 |
| 動きの作り方 | 画像+動きプロンプト、セクション延長 | T2V/I2V ワークフロー次第 |
| 向く人 | まず長く動かしたい | パイプラインを組みたい中級者 |
両方入れる人も多いです。試作は FramePack、量産パイプラインは ComfyUI、といった分け方が現実的です。
よくある失敗
-
VRAM 不足でクラッシュ
秒数・解像度を半分にする、バッチを1にする、他アプリを閉じる、公式の軽量パスへ。 -
動きが硬い
プロンプトが「standing still」寄りになっていないか確認。FramePack 公式は動きの大きい短文プロンプトを推奨。 -
チラつく/品質が落ちた
TeaCache や量子化をオフにした比較を1本取る。 -
顔が別人
参照の顔サイズと尺を見直す。長い生成ほどドリフトしやすい。 -
偽サイトからパッケージを取った
FramePack は公式が偽ドメインに強い警告を出している。GitHub Releases 以外を信用しない。 -
モデル配置ミス
ComfyUI で赤いノードや file not found が出たら、まずパスとファイル名。
プロンプトのコツ(FramePack 寄り)
公式が示す型は、「主語+動き+簡潔な修飾」です。例として README にあるような The girl dances gracefully, with clear movements, full of charm. のような短い英文が使われています。長い情景説明より、どう動くかを先に書くと安定しやすいです。ChatGPT に「動きだけ短い英語で」と頼むテンプレも公式が紹介しています。
Wan 側はワークフローによって日本語プロンプトの効き方が違うので、例ワークフロー付属の言語に合わせるのが安全です。
導入の順番(迷ったとき)
- FramePack を公式パッケージまたは README どおりに入れ、sanity check の画像とプロンプトを再現する
- 自分の画像で 5 秒前後だけ試し、顔と手の崩れを見る
- 問題なければ秒数を延ばす。TeaCache は後から
- 量産や LoRA が必要になったら ComfyUI + Wan 例ワークフローへ
- Wrapper を入れる場合は example_workflows を壊さずロードし、モデルパスだけ直す
最初から NSFW LoRA と長尺を同時にやると、原因切り分けができなくなります。まず「公式どおり動くか」を切り分けてください。
ストレージとダウンロード
FramePack は Hugging Face から十数 GB 超のモデル取得があると README にあります。Wan 14B 系も単体で大きいです。SSD の空き、ダウンロードの再開、ディスクの温度(長時間書き込み)も計画に入れてください。回線が細いと「ツールが悪い」のではなく取得待ち、という状態が続きます。
ComfyUI 側はカスタムノードの更新で依存が壊れやすいです。動いている環境をクローンしてからノードを足すと、本番が死ににくいです。
画像から動画にするときの参照の作り方
I2V や FramePack の入力画像は、次があると安定しやすいです。
- 被写体が大きく、顔や胴が途中で切れない
- 背景が単純すぎず、ただしノイズだらけでもない
- 手足が重なっていない
- 解像度が極端に低いアップスケールばかり、になっていない
元画像の時点で手指が崩れていると、動画でも直りません。画像生成側で直してから動画に渡す方が、トータルでは早いことが多いです。流れは 画像から動画へ変換ガイド も参考になります。
販売・公開前の注意
動画は画像より権利と規約の面が目立ちます。実在人物の顔、既存キャラの無断、未成年に見える描写、BGM の無断使用は避けてください。収益化の全体像は AI動画で稼ぐガイド へ。モデル側のライセンス(Wan は Apache 2.0 表示が多い等)も、使う LoRA とセットで確認します。
まとめ
低VRAMで動画を伸ばしたいなら FramePack の公式要件と GUI から入るのが分かりやすいです。自由にノードを組むなら ComfyUI と Wan 2.1(公式例や WanVideoWrapper)です。VRAM 数字は環境依存の目安に留め、TeaCache や量子化は品質とのトレードオフとして扱ってください。
NSFW は破綻と規約と権利が同時に来ます。短い尺で検証し、問題ない素材とライセンスだけで公開・販売に進んでください。基礎概念は Wan 2.1 ガイド と ツール比較 に戻ると整理しやすいです。公式 README は更新が速いので、詰まったらまず GitHub の最新 Requirements と example を開く習慣をつけてください。同じ失敗を繰り返さないよう、うまくいった解像度・秒数・シードだけメモしておくと、次の試作が早くなります。





