Stable Diffusionには多くの設定項目がありますが、画質を左右する主要なパラメータは3つだけです。
- Sampling method(サンプラー)
- Sampling steps(ステップ数)
- CFG Scale
この3つの意味を理解すれば、無駄な試行錯誤が大幅に減ります。逆に、ここを理解しないまま数値をいじると、時間だけを浪費して画質は上がりません。
結論:迷ったらこの設定
Sampling method: DPM++ 2M Karras
Sampling steps: 25
CFG Scale: 7
まずこれで固定してください。 そして、この設定のままプロンプトとモデルの改善に集中するほうが、パラメータをいじり回すよりはるかに成果が出ます。
パラメータ調整は、プロンプトとモデルを詰め切ってから手を出す領域です。
1. Sampling method(サンプラー)
何をしている設定か
Stable Diffusionは、ランダムなノイズから出発して、段階的にノイズを取り除いて画像を作ります(この出発点を決めるのが Seed です)。
サンプラーは、この「ノイズの取り除き方(アルゴリズム)」を決める設定です。
選び方
| サンプラー | 特徴 | 向き |
|---|---|---|
| DPM++ 2M Karras | 速度と品質のバランスが最良 | 迷ったらこれ |
| DPM++ SDE Karras | 高品質だがやや遅い | 品質重視 |
| Euler a | 高速。少ないStepsでも絵になる | 速度重視・試行錯誤時 |
| DDIM | 古典的。再現性が高い | 検証用途 |
正直なところ、サンプラーによる差はモデルやプロンプトの差に比べれば小さいです。
ここで悩む時間があるなら、モデル選び(SDXL vs FLUX.1)やプロンプト設計に時間を使ってください。
2. Sampling steps(ステップ数)
何をしている設定か
ノイズを取り除く回数です。
最も多い誤解:「多いほど綺麗」は間違い
これは明確に誤りです。
| Steps | 挙動 |
|---|---|
| 10以下 | ノイズが残る。絵が甘い |
| 20〜30 | 実用域。ここで十分 |
| 30〜50 | ほぼ変化なし。時間だけ増える |
| 100以上 | 完全に無駄。画質は上がらない |
ノイズ除去は一定回数で収束します。それ以降いくら回しても、絵はほとんど変わりません。
Stepsを150にしても綺麗にはなりません。生成時間が6倍になるだけです。
25から始めてください。 絵が甘いと感じたら30まで上げる。それ以上は不要です。
例外:Hires.fix使用時
Hires.fix では、拡大後の描き込み用に別途 Hires steps を設定できます。こちらは10〜20程度で十分です。
3. CFG Scale(最も重要)
何をしている設定か
プロンプトへの忠実度を決める値です。
- 低い → プロンプトを軽く参照する。AIが自由に描く
- 高い → プロンプトに厳密に従おうとする
最適値と、上げすぎたときの副作用
| CFG | 挙動 |
|---|---|
| 1〜3 | プロンプトをほぼ無視。自由すぎる |
| 5〜6 | ゆるく従う。柔らかい絵 |
| 7〜9 | 基準。ここから始める |
| 10〜12 | 従うが硬くなり始める |
| 13以上 | 色が飽和し、線が硬く、絵が崩れる |
なぜ上げると崩れるのか
CFGを上げると、AIはプロンプトに過剰適合します。その結果、コントラストと彩度が不自然に増幅され、色がギラギラに飽和し、線が硬く、破綻します。
CFGは「品質を上げる設定」ではありません。 「どれだけ言うことを聞かせるか」の設定です。
狙いに寄らないときの正しい対処
多くの人が「プロンプトどおりにならない → CFGを上げる」という行動を取りますが、これは逆効果です。
正しい順序はこうです。
- プロンプトを見直す(曖昧な語を具体的に、冗長な語を削る)
- モデルを見直す(そもそも苦手な絵柄ではないか)
- ControlNetで構図を固定する(ControlNetガイド)
- それでも駄目なら、CFGを微調整(7→9程度)
CFGを13以上に上げるのは、ほぼ常に間違いです。
3つの関係を1枚で理解する
| パラメータ | 決めるもの | 迷ったら | 上げすぎると |
|---|---|---|---|
| Sampler | ノイズの取り除き方 | DPM++ 2M Karras | (大差なし) |
| Steps | 取り除く回数 | 25 | 時間の無駄 |
| CFG Scale | プロンプトへの忠実度 | 7 | 色が飽和し崩れる |
画質に本当に効くのは、この3つではなく「モデル」と「プロンプト」です。
パラメータは、そこを詰め切ってから微調整する対象だと理解してください。
正しい検証方法:X/Y/Z plot
「自分のモデルでの最適値」を知りたい場合、seedを固定して1つずつ振るのが唯一の方法です。
WebUIには X/Y/Z plot というスクリプトがあり、パラメータを段階的に変えた比較画像を一度に生成できます。
X軸: CFG Scale = 5, 7, 9, 11, 13
Y軸: Sampling steps = 15, 25, 35
Seed: 固定(必須)
これを1回回すだけで、そのモデルでの適正値が一目で分かります。感覚で調整するより圧倒的に速いです。
seed固定の重要性は Seed完全ガイド で詳しく解説しています。
用途別の設定早見表
「迷ったらこれ」を、目的別に整理します。まずここから始めて、seedを固定して微調整してください。
| 目的 | Sampler | Steps | CFG |
|---|---|---|---|
| とりあえず試す(構図出し) | DPM++ 2M Karras | 20 | 7 |
| アニメ調を安定させる | Euler a | 20〜25 | 5〜7 |
| 実写風を詰める | DPM++ 2M Karras | 25〜30 | 4〜6 |
| 大量に数を出す(当たり探し) | Euler a | 12〜15 | 7 |
| 仕上げ・最終出力 | DPM++ 2M Karras | 28〜35 | 5〜7 |
当たり探しはStepsを削って数を出し、当たったseedだけStepsを上げて仕上げる——これが最も時間効率の良い進め方です。
Steps・CFGを上げても品質は上がらない
初心者がまずやってしまうのが、**「Stepsを100に、CFGを20に」**です。逆効果です。
Stepsを上げすぎた場合
Stepsは「ノイズを取り除く回数」です。ある回数で絵は収束します。そこから先はいくら回しても——
- 絵はほとんど変わらない
- 生成時間だけが伸びる(Steps 100はSteps 25の4倍かかる)
20〜30で十分収束します。 100にする意味はありません。
CFGを上げすぎた場合
CFGは「プロンプトへの忠実度」です。上げすぎると、モデルがプロンプトに従おうとしすぎて絵が破綻します。
| CFG | 結果 |
|---|---|
| 1〜3 | プロンプトを無視する。ぼんやりした絵 |
| 4〜8 | 実用域。ここから外れる必要はほぼない |
| 10〜15 | 色が濃く、輪郭が硬くなる |
| 16以上 | 色が焼き付き、質感が壊れる(いわゆる「揚がった」状態) |
「彩度が異常に高い」「輪郭がバキバキ」「肌が塗り絵のよう」——これらはほぼCFGの上げすぎです。
「絵が硬い/焦げている」ときの診断
出力を見て、原因を切り分けるための対応表です。
| 症状 | 疑うべき原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 色が濃すぎ、輪郭がバキバキ | CFGが高い | CFGを下げる(まず6へ) |
| ぼんやり、プロンプトが効かない | CFGが低い | CFGを上げる(まず7へ) |
| ざらつく、描き込み不足 | Stepsが少ない | Stepsを20〜25へ |
| 遅いだけで変化がない | Stepsが多すぎ | Stepsを25まで下げる |
| 毎回まったく違う絵になる | 祖先系サンプラー(a付き) | DPM++ 2M Karras に変更 |
a 付きサンプラーは収束しない
Euler a や DPM++ 2S a など、名前に a(ancestral)が付くサンプラーは、各ステップでノイズを足し直します。
そのため Stepsを変えると絵が変わり続けます(収束しない)。当たり探しには向きますが、「Stepsだけ上げて仕上げる」という使い方には向きません。
**詰める段階では a の付かないサンプラー(DPM++ 2M Karras など)**を使ってください。Stepsを上げても構図が維持されます。
よくある失敗
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生成が異常に遅い | Stepsが多すぎる | 25に下げる |
| 色がギラギラ・線が硬い | CFGが高すぎる | 7に戻す |
| プロンプトを無視される | CFGが低すぎる | 7以上に |
| 絵が甘い・ぼやける | Stepsが少なすぎる | 20以上に |
| 何を変えても効果が分からない | seedを固定していない | seedを固定する |
まとめ
- 迷ったら DPM++ 2M Karras / Steps 25 / CFG 7
- Stepsは増やしても綺麗にならない(30で頭打ち)
- CFGは上げると崩れる(13以上はほぼ間違い)
- 狙いに寄らないときは、CFGではなくプロンプトとモデルを見直す
- 検証は seed固定 + X/Y/Z plot
パラメータをいじる前に、Stable Diffusion WebUI導入ガイド で環境を整え、ネガティブプロンプト完全ガイド でプロンプトの土台を固めるほうが、はるかに大きな効果が得られます。





