「Stable Diffusion を入れてみたが、設定項目が多すぎて何を触ればいいか分からない」——この壁で止まる人向けに作られたのが Fooocus です。
Fooocus は設定項目を意図的に隠し、プロンプトを書くだけで質の高い絵が出ることを目標に設計されたUIです。この記事では、Fooocus でNSFW画像を生成するまでの実務をまとめます。
公式: github.com/lllyasviel/Fooocus
手順や必要要件は更新で変わります。導入前に公式READMEで最新を確認してください。
Fooocus の設計思想
作者は ControlNet と Forge の lllyasviel 氏です。Forge が「A1111 を速くする」方向だったのに対し、Fooocus は 「設定を消す」 方向に振り切っています。
何を自動化しているか
- サンプラーの選択
- ステップ数
- CFG Scale の調整
- 内部的なプロンプトの補強
- 解像度に応じた処理の切り替え
ユーザーが触るのは基本的にプロンプトと、いくつかのスタイル指定だけです。
何を犠牲にしているか
- 細かい制御ができない
- 特定のサンプラーで追い込む、といった調整がしにくい
- 拡張機能のエコシステムが A1111 系ほど大きくない
「初手の成功率」と「追い込みの余地」のトレードオフ、と理解すると選びやすくなります。
導入
前提
- Windows / Linux(Mac は選択肢が限られる。Mac 勢は Draw Things が現実的)
- NVIDIA GPU
- ディスク空き:本体+標準モデルで数十GB
手順の骨格
- 公式のリリースから Windows 用パッケージをダウンロード、または git clone
- 起動用スクリプトを実行
- 初回起動時に標準モデルが自動ダウンロードされる(数GB、時間がかかる)
- ブラウザで localhost が開く
A1111 や Forge のような依存関係の手動セットアップがほぼ不要なのが Fooocus の利点です。ダブルクリックで動くところまで持っていける構成になっています。
NSFW生成の設定
重要な点なので繰り返します。Fooocus 自体に検閲フィルタはありません。NSFWが出るかどうかはモデルで決まります。
初回に自動ダウンロードされる標準モデルは汎用SDXL系で、NSFW描写は不得意です。そのまま試して「出ない」と判断する人が多いのですが、原因はモデルです。
入れるモデル
Civitai から取得して models/checkpoints/ に配置します。
| モデル系統 | 特徴 |
|---|---|
| Pony Diffusion V6 XL | NSFW描写が最も強い。スコアタグ必須 |
| Illustrious | Danbooruタグに素直。破綻が少ない |
| NoobAI | Illustrious系。タグ追従が強い |
モデルの探し方と信頼できるものの見分け方は Civitai 完全活用ガイド にまとめています。
配置場所
Fooocus/
└── models/
├── checkpoints/ ← .safetensors(チェックポイント)
├── loras/ ← LoRA
└── vae/ ← VAE
配置後、UI上のモデル選択欄に出てきます。出てこない場合は再読み込みするか、UIを再起動してください。
Pony系のスコアタグ
Pony Diffusion V6 XL 系を使うなら、プロンプト先頭にスコアタグが必要です。
score_9, score_8_up, score_7_up,
1girl, long hair, ...
Fooocus が設定を自動化していても、これはモデル側の仕様なので自分で書く必要があります。
Advanced 設定の勘所
Fooocus は普段は設定を隠していますが、Advanced チェックボックスで一部を開けます。開けたときに意味があるものだけ挙げます。
Performance
- Speed — 標準。まずここ
- Quality — ステップを増やして品質重視。生成時間は伸びる
- Extreme Speed / Lightning 系 — 高速だが品質は落ちる。当たり外れを高速に見たいとき
大量に試行して当たりを探す段階は Speed、決めた構図を仕上げる段階は Quality、という使い分けが実務的です。
Aspect Ratios
SDXL系は1024×1024 相当のピクセル数が基準です。プリセットから選べば外しません。
- 正方形: 1024×1024
- 縦長(立ち絵向き): 832×1216
- 横長: 1216×832
Styles
Fooocus には画風のプリセットが多数入っています。ただしPony / Illustrious 系のアニメ調モデルを使う場合、Styles が邪魔をすることがあります。
意図しない画風になるときは、Styles を全部オフにして素のプロンプトだけで試すのが切り分けの第一手です。
Negative Prompt
Fooocus は内部でネガティブを補強していますが、自分でも指定できます。NSFW生成では、
worst quality, low quality, bad anatomy,
bad hands, extra digits, watermark, signature
程度から始めて、出てくる破綻に応じて足していくのが素直です。
LoRA
models/loras/ に置いたものをUI上で選び、重みをスライダーで指定します。A1111 のようにプロンプト内に <lora:...> と書く方式ではありません。
LoRAの探し方・自作は LoRA自作完全ガイド と Civitai 完全活用ガイド を参照してください。
Inpaint と顔の描き直し
Fooocus は Inpaint / Outpaint を標準搭載しています。拡張を入れずに使えるのは地味に大きい利点です。
使いどころ
- 顔が崩れた → 顔だけマスクして描き直す
- 指が破綻した → 手だけマスクして描き直す
- 背景を広げたい → Outpaint
実務のコツ
- マスクは対象より少し広めに取る
- 描き直し用のプロンプトは短く具体的に(
beautiful face, detailed eyesなど) - 元絵を残したいときは変化量を小さめに、作り直したいときは大きめに
顔と手の破綻は Fooocus に限らずAI画像生成全般の課題です。症状別の対処は AI画像生成トラブル辞典 にまとめました。A1111/Forge 系なら ADetailer で自動化できます。
他UIとの使い分け
| Fooocus | Forge / A1111 | ComfyUI | |
|---|---|---|---|
| 学習コスト | 最も低い | 中 | 高い |
| 初手の成功率 | ◎ | ○ | △ |
| 細かい制御 | △ | ○ | ◎ |
| 拡張の豊富さ | △ | ◎ | ◎ |
| 動画生成 | × | △ | ◎ |
| バッチ自動化 | △ | ○ | ◎ |
移行の順序
- Fooocus で「AI画像生成とはどういうものか」を掴む
- プロンプトの効き方が分かってきたら Forge へ
- 動画や複雑なワークフローが必要になったら ComfyUI へ
Fooocus を「卒業する前提の入口」として使うのは、まったく悪くない選び方です。逆に、凝る気がないなら Fooocus に留まり続けても困りません。
Fooocus が向く人・向かない人
向く人
- 設定項目を見ると手が止まる
- とにかく早く1枚出したい
- Midjourney のような体験をローカルで欲しい
- Inpaint まで含めて1つで完結させたい
向かない人
- サンプラーやCFGを自分で追い込みたい
- ControlNet や Regional Prompter を多用したい
- 動画生成に踏み込みたい
- ワークフローを自動化したい
よくある詰まりどころ
NSFWが出ない
標準モデルのままになっています。 Pony / Illustrious 系を入れてください。これが圧倒的に多い原因です。
画風が思ったものにならない
Styles が効いています。 全部オフにして素のプロンプトで確認してください。
モデルを置いたのに出てこない
- 配置フォルダが違う(
models/checkpoints/) - 拡張子が
.safetensorsでない - UIの再読み込み or 再起動が必要
生成が遅い
- Performance を Speed に
- 解像度を下げる
- 環境側の目安は AI生成PC構成ガイド 参照
関連記事
- Forge / reForge でNSFW画像を生成する完全ガイド
- Civitai 完全活用ガイド2026
- Pony Diffusion 完全解説
- AI画像生成トラブル辞典2026
- プロンプト逆引き辞典
- AI生成PC構成ガイド2026
まとめ
Fooocus は 「設定を消すことで初手の成功率を上げた」UIです。NSFW生成に制限はなく、Pony / Illustrious 系のモデルを入れるだけで普通に出ます。標準モデルのままで「出ない」と判断されがちなのが最大の誤解です。
まず1枚出す体験を作るには最適で、物足りなくなったら Forge や ComfyUI に移ればいい。入口として非常に優秀です。





