Regional Prompter 完全ガイド2026:複数キャラを混ざらせずに描き分ける領域指定

Regional Prompter の使い方を実務目線でまとめました。画面を領域に分けてキャラごとに別プロンプトを割り当てる仕組み、Matrix / Mask / Prompt の3モード、Common プロンプトの使い方、LoRA の領域別適用、キャラが混ざるときの対処まで。「2人描くと衣装と髪色が混ざる」を解決します。

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この記事の要点

  • Regional Prompter は画面を領域に分割し、領域ごとに別のプロンプトを適用する拡張機能
  • 2人以上を描くと髪色や衣装が混ざる「概念の汚染」を、領域分離で防ぐのが本質
  • Matrix(比率で分割)・Mask(自由な形)・Prompt(単語で領域指定)の3モードがある
  • 全領域共通の指定は Common プロンプトに置く。画風や画質タグはここ
  • LoRAを領域ごとに効かせられる。キャラLoRAを2つ使う場合に必須級

キャラを2人描こうとして、金髪のはずが両方とも中途半端な色になった衣装が入れ替わった顔が同じ人になった——AI画像生成をやっていれば必ず通る問題です。

原因は明確で、プロンプトが画面全体に等しく作用するからです。「金髪の女性と黒髪の女性」と書いても、モデルはどちらにどう割り当てるか判断できません。

Regional Prompter は、先に領域を分けてしまうことでこれを解決します。

公式: github.com/hako-mikan/sd-webui-regional-prompter

設定項目は更新で変わります。導入前に公式READMEで最新を確認してください。

何が起きているのか

概念の汚染

プロンプトの各単語は画面全体に影響します。

1girl, blonde hair, red dress,
1girl, black hair, blue dress

こう書いても、モデルは「金髪+赤ドレス」と「黒髪+青ドレス」のセットを認識しません。すべての属性が画面全体に薄く広がるため、

  • 両方が茶髪になる
  • 片方が金髪で赤い服、もう片方も金髪で赤い服
  • 服の色だけ入れ替わる

といった結果になります。これを 概念の汚染(concept bleeding) と呼びます。

Regional Prompter の解決策

┌─────────┬─────────┐
│ 領域1    │ 領域2    │
│ 金髪     │ 黒髪     │
│ 赤ドレス  │ 青ドレス  │
└─────────┴─────────┘

領域ごとに別々のプロンプトを適用することで、混ざる余地をなくします。

導入

  1. WebUI の Extensions タブ
  2. Install from URL に公式リポジトリのURLを入力
  3. インストール後、WebUIを再起動
  4. txt2img 画面に Regional Prompter のセクションが追加される

Forge でも主要な対応拡張の一つですが、バージョンの組み合わせによっては不具合が出ることがあります。動かない場合は拡張のIssueで対応状況を確認してください。

3つのモード

Matrix(比率で分割)

最も使う方式です。画面を縦横の比率で機械的に分割します。

  • Horizontal(横分割):左右に並べる。2人を横に並べる定番
  • Vertical(縦分割):上下に分ける。背景と人物の分離などに

分割比率を 1,1 と書けば半々、1,2 なら 1:2 になります。

左右に2人なら Horizontal で 1,1。ここから始めるのが分かりやすいです。

Mask(自由な形)

領域を自由な形で描いて指定します。

  • 人物が斜めに配置されている
  • 前後に重なっている
  • 画面の一部だけ別扱いにしたい

こういう構図で使います。柔軟ですが、マスクを描く手間がかかります。

Prompt(単語で領域推定)

プロンプト中の単語から領域を自動推定する方式です。手軽ですが制御は緩く、意図どおりにならないこともあります。

まず Matrix、複雑になったら Mask、という順で覚えるのが実務的です。

基本の書き方

Regional Prompter では、区切り文字でプロンプトを領域ごとに分けます。

Common プロンプト

全領域に共通の指定を先頭に置き、ADDCOMM で区切ります。

score_9, score_8_up, masterpiece, best quality,
2girls, indoors, classroom, warm lighting
ADDCOMM
1girl, blonde hair, long hair, red dress, smile
ADDCOL
1girl, black hair, short hair, blue dress, serious
  • Common(ADDCOMM の前):画質タグ、画風、人数、背景、照明
  • ADDCOL:横方向に領域を区切る
  • ADDROW:縦方向に領域を区切る

Common に何を置くか

ここの設計が仕上がりを左右します。

Common に置くもの領域別に置くもの
画質タグ(masterpiece 等)髪色・髪型
Pony系スコアタグ服装
画風・作風表情
背景・場所キャラ固有の特徴
照明・時間帯ポーズの細部
人数(2girls など)

背景や照明を領域別に書くと、境界で不連続になります。シーン全体で連続すべきものは必ず Common へ。

LoRA の領域別適用

複数のキャラLoRAを使うなら、これが最重要機能です。

キャラAとキャラBのLoRAを両方読み込むと、通常は画面全体で混ざり、どちらでもない顔になります。

Regional Prompter では、LoRAを領域ごとに効かせられます。

共通タグ
ADDCOMM
<lora:charA:1.0> charA, blonde hair, ...
ADDCOL
<lora:charB:1.0> charB, black hair, ...

記法や設定はバージョンで変わるため、公式READMEの LoRA 関連セクションを必ず確認してください。

キャラLoRAの自作は LoRA自作完全ガイド、配布モデルの探し方は Civitai 完全活用ガイド にまとめています。

ControlNet との併用

Regional Prompter だけでは「誰がどこにいるか」しか決まりません。ポーズは別問題です。

役割分担はこうなります。

決めるもの
Regional Prompter誰がどの領域にいるか、その人の属性
ControlNet OpenPoseどんなポーズか、骨格の位置

複数人のポーズをプロンプトだけで制御するのは事実上不可能なので、この2つの併用が定番です。

OpenPose のエディタで2人分の骨格を配置し、その配置に合わせて Regional Prompter の領域を切る——という手順になります。ポーズ語彙は ポーズプロンプト完全辞典 を参照してください。

実務でのパターン

パターン1:左右に2人

score_9, score_8_up, 2girls, indoors, bedroom, warm lighting
ADDCOMM
1girl, blonde hair, twintails, white dress, smile, looking at viewer
ADDCOL
1girl, black hair, long hair, black dress, serious, looking away

Matrix / Horizontal / 1,1

パターン2:手前と奥

score_9, score_8_up, 2girls, outdoors, park, sunset
ADDCOMM
1girl, foreground, close-up, red hair, casual clothes
ADDCOL
1girl, background, blurry, blue hair, school uniform

奥行きの表現は領域分割と相性が悪いこともあるので、Mask モードのほうが素直な場合があります。

パターン3:上下分割(背景と人物)

score_9, score_8_up, 1girl, cinematic lighting
ADDCOMM
sky, clouds, sunset, orange sky
ADDROW
1girl, standing, long hair, white dress, rooftop

パターン4:3人以上

共通
ADDCOMM
キャラ1
ADDCOL
キャラ2
ADDCOL
キャラ3

3人を超えると急に難しくなります。 領域が狭くなり顔の解像度が落ちるため、ADetailer との併用がほぼ必須になります。

よくある詰まりどころ

まだ混ざる

  • 領域の比率と実際の人物配置がずれている(人物が領域をまたいでいる)
  • Common に個別属性を書いてしまっている(髪色などは領域別へ)
  • ControlNet で位置を固定していない

境界が不自然

  • 背景・照明が領域別になっている → Common へ移す
  • 境界のぼかし設定を調整
  • 比率を見直す

片方の領域に人が生成されない

  • 領域が狭すぎる
  • 領域別プロンプトに 1girl が抜けている
  • Common の人数指定(2girls)と実際の領域数が合っていない

顔が潰れる

領域が狭いぶん顔も小さくなります。ADetailer で顔を再生成してください。ただしADetailerは検出した顔すべてに同じプロンプトを適用するので、キャラごとに描き分けたい場合は手動Inpaintになります。

LoRAが効かない / 混ざる

  • 記法がバージョンと合っていない(公式READMEを確認)
  • LoRAの領域別適用が有効になっていない

拡張が動かない

WebUIのバージョンとの相性です。Forge 使用時は対応状況を確認してください。

ComfyUI での代替

ComfyUI には領域別にコンディショニングを適用するノード群があり、同じことができます。ノードの名称や構成は配布元で異なるため、ComfyUI Manager で検索して確認してください。

設計思想は同じなので、この記事の「Commonに何を置くか」「ControlNetと役割分担する」といった考え方はそのまま使えます。

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まとめ

Regional Prompter は 「プロンプトが画面全体に効いてしまう」という構造的問題を、領域を分けることで解く拡張です。

押さえるべきは3点。Common に共通要素を置くこと背景と照明は領域別にしないことポーズは ControlNet に任せること

2人以上を描くなら避けて通れない道具です。3人以上になると難易度が跳ね上がるので、そこは ADetailer との併用を前提に組んでください。

よくある質問

Regional Prompter とは何ですか?

hako-mikan 氏によるA1111系WebUI向けの拡張機能で、画面を複数の領域に分割し、それぞれに異なるプロンプトを適用できます。2人以上のキャラクターを描くときに髪色や衣装が混ざる問題を、領域を分けることで防ぐのが主な用途です。

なぜ2人描くと特徴が混ざるのですか?

プロンプトは画面全体に等しく作用するためです。「金髪の女性と黒髪の女性」と書いても、モデルは金髪と黒髪をどちらにどう割り当てるか判断できず、両方が中間色になったり入れ替わったりします。Regional Prompter は領域を先に分けることで、この曖昧さを排除します。

3つのモードはどう使い分けますか?

Matrix は縦横の比率で単純に分割する方式で、左右に2人並べるといった構図に最適です。Mask は自由な形の領域を描いて指定でき、複雑な配置に対応します。Prompt はプロンプト中の単語をもとに領域を自動推定する方式で、手軽ですが制御は緩くなります。まず Matrix から始めるのが実務的です。

Common プロンプトとは何ですか?

全領域に共通で適用されるプロンプトです。画質タグ、画風、背景、Pony系のスコアタグなど、キャラ個別ではない指定をここに置きます。これを使わないと、各領域に同じタグを毎回書くことになり、プロンプトが長くなり管理も面倒になります。

LoRA を領域ごとに使い分けられますか?

できます。キャラAのLoRAを左領域、キャラBのLoRAを右領域、という指定が可能です。これをしないと2つのキャラLoRAが画面全体で混ざり、どちらでもない顔になります。複数キャラLoRAを使うなら必須の機能です。LoRAの自作は [LoRA自作完全ガイド](/posts/lora-training-kohya-ss-guide/) を参照してください。

領域の境界が不自然になります

境界のぼかし設定を調整するか、領域の比率を見直してください。また、背景や照明のようにシーン全体で連続すべき要素を各領域に個別指定していると継ぎ目が目立ちます。そうした要素は Common プロンプトへ移すと改善します。

ComfyUI でも同じことができますか?

できます。ComfyUI には領域別にコンディショニングを適用するノード群があり、同じ考え方で組めます。ノード名や構成は配布元によって異なるので、ComfyUI Manager で検索して確認してください。設計思想は共通なのでこの記事の考え方は流用できます。

ControlNet と併用できますか?

併用が実務的です。Regional Prompter で「誰がどこにいるか」を決め、ControlNet OpenPose で「どんなポーズか」を決める、という役割分担になります。複数人のポーズ制御はプロンプトだけでは限界があるため、この組み合わせが定番です。

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