CG集を作るとき最大の壁は キャラクターの同一性 です。20枚描いて20人の別人が出てくれば作品として成立しません。
このサイトでは既に LoRA自作 と IP-Adapter を扱いました。この記事は3つ目の道具、ReActor を扱います。
ただし最初に、この記事の範囲をはっきりさせます。
この記事が扱わないこと
実在人物の顔を性的な画像に合成する行為は、この記事の対象外です。手順も書きません。
理由は倫理的なものだけではありません。
- 肖像権・パブリシティ権・人格権の侵害にあたる
- 性的文脈であれば 名誉毀損が重なる
- 各自治体の迷惑防止条例、事案によってはリベンジポルノ防止法の適用が問題になる
- 民事の損害賠償に加え、刑事責任が生じうる
そして何より、合意なく性的な合成画像を作られた人には現実の被害が生じます。「技術的にできるから」は理由になりません。
相手が有名人でも、知人でも、公開しないつもりでも、同じです。
この記事が想定するのは 「自分が生成したオリジナルキャラの顔を、自分の作品の中で揃える」 ——それだけです。
公式: github.com/Gourieff/sd-webui-reactor
何をする道具か
処理はこうです。
1. 対象画像から顔領域を検出
2. 差し替え元画像から顔の特徴を抽出
3. 対象画像の顔領域に特徴を反映
4. 境界を馴染ませて合成
生成のプロセスに介入するのではなく、生成後の画像を加工する後処理です。ここが LoRA / IP-Adapter との根本的な違いです。
3つの道具の位置づけ
| 何をするか | 同一性の強さ | 準備 | |
|---|---|---|---|
| キャラLoRA | モデル自体にキャラを学習 | 最強 | データセット+学習 |
| IP-Adapter | 生成時に参照画像で誘導 | 中〜強 | 参照画像1枚 |
| ReActor | 生成後に顔を差し替え | 中 | 差し替え元1枚 |
ReActor は最後の補正です。これ単体に頼ると、体は別人・顔だけ貼り付けた不自然な絵になります。
導入
- WebUI の Extensions タブ
- Install from URL に公式リポジトリのURLを入力
- 再起動
- txt2img / img2img / Extras に ReActor のセクションが追加される
初回に顔検出・特徴抽出用のモデルがダウンロードされます。導入で詰まる場合は公式READMEの依存関係セクションを確認してください(環境によって追加のインストールが必要なことがあります)。
基本の使い方
差し替え元の準備
自分が生成したキャラ画像の中から、最も顔がよく出ている1枚を選びます。
良い差し替え元の条件:
- 正面〜斜め45度
- 顔が大きくはっきり写っている
- 髪や手で隠れていない
- 明るさが極端でない
- 解像度が高い(ここが低いと全部に伝播する)
このキャラの「基準顔」を1枚決めて、シリーズ全体で使い回すのが運用の型です。
設定
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| Source image | 差し替え元(基準顔) |
| Face index | 複数人いる場合、何番目の顔を対象にするか |
| Restore face | 顔の復元処理。ONにすると輪郭が整うが、のっぺりしやすい |
| Upscaler | 顔領域のアップスケール。基本ON |
| CodeFormer weight | 復元の強さ。上げるほど整うが個性が消える |
実務的な初期値
- Upscaler: 有効
- Restore face: 弱め(0.3〜0.5相当)
- Face index: 対象が1人なら 0
Restore face を強くしすぎると、キャラの個性が消えて「よくあるCG顔」になります。 ここは控えめが基本です。
複数人の画像で使う
Face index で対象を選びます。
0— 1人目1— 2人目0,1— 両方
どの顔が何番かは検出順に依存するので、意図しない顔が差し替わることがあります。1人ずつ処理するか、Regional Prompter で構図を固定して順番を安定させてください。
解像度の落ちへの対処
ReActor の最大の弱点は、差し替えた顔がぼやけることです。切り出して合成する処理の性質上どうしても起きます。
対処の順序
- ReActor 内のアップスケーラを有効にする
- それでも足りなければ、処理後に ADetailer で顔を再生成
- 全体をアップスケール
ReActor → ADetailer の順が実務的です。ReActorで顔立ちを揃え、ADetailerで解像度を戻す、という役割分担になります。
ただし ADetailer の Denoising strength を上げすぎると、せっかく揃えた顔がまた変わります。0.3前後に抑えてください。
角度の限界
差し替え元と対象の顔の向きが離れるほど破綻します。
| 対象の顔の向き | 結果 |
|---|---|
| 正面 | ◎ 安定 |
| 斜め45度 | ○ 実用的 |
| 横顔 | △ 破綻しやすい |
| 大きく傾き・仰け反り | × 検出失敗も多い |
| 後ろ姿 | × 対象外 |
横顔や特殊な角度が多いシリーズでは、ReActor に頼らずキャラLoRAを作るべきです。角度への強さはLoRAが圧倒的に上です。
CG集制作での実際の流れ
ReActor をどこで使うか、全体像の中で位置づけます。
1. キャラ設計(プロンプトで基準顔を固める)
2. キャラLoRA を学習 ← 同一性の主軸
または IP-Adapter で誘導
3. 各コマを生成(ポーズ・構図・衣装を変える)
4. 顔が揺れたコマだけ ReActor で揃える ← ここ
5. ADetailer で顔を再生成して解像度を戻す
6. 全体をアップスケール
7. 通しで見て違和感のあるコマを差し戻し
**ReActor は4番目、しかも「揺れたコマだけ」**です。全コマに機械的にかけると、全体がのっぺりします。
制作全体の実務は FANZA同人でAI CG集を出す完全ガイド にまとめています。
使わないほうがいい場面
正直に書くと、ReActor を使わずに済むならそのほうがいいです。
LoRA を作るべき場面
- 30枚以上のシリーズ
- 横顔・俯瞰・アオリなど角度が多様
- 継続的に同じキャラを使う予定がある
学習に数時間かければ、以降ずっと安定します。 ReActor で毎回補正するより結果的に楽です。
IP-Adapter で足りる場面
- 10枚程度の小規模
- 角度が正面中心
- 試作段階
IP-Adapter は生成時に効くので、後処理より自然に馴染みます。
ReActor が向く場面
- LoRA を作るほどではないが、数コマだけ顔が揺れた
- 既に完成した画像を後から直したい
- 微修正
よくある詰まりどころ
顔が検出されない
- 顔が小さすぎる・不鮮明
- 角度が極端
- 髪や手で隠れている
対処は、元画像側で顔がはっきり写る構図にすること。後処理では限界があります。
差し替えた顔がぼやける
アップスケーラを有効に。その後 ADetailer で再生成。
顔だけ浮いて見える
- 肌の色味が合っていない
- 光源の方向が違う
- Restore face が強すぎてのっぺりしている
差し替え元と対象の照明条件を近づけるのが根本対処です。逆光の絵に順光の顔を貼れば当然浮きます。
個性が消えて平凡な顔になる
Restore face / CodeFormer weight が強すぎます。下げてください。
意図しない人物の顔が差し替わった
Face index を確認。複数人なら1人ずつ処理を。
拡張が導入できない
依存関係の問題が多いです。公式READMEのインストールセクションと、Issue の同様の報告を確認してください。Forge 使用時は対応状況も確認を。
販売時に確認すること
自作CG集に使う場合:
- 顔の出所がすべて自分の生成物であること(ここが絶対条件)
- プラットフォームの AI利用の申告ルールを確認(規約は変動します)
- 使用したモデル・LoRAのライセンス確認 → AIエロ絵の商用ライセンス完全整理
実在人物由来の素材が1枚でも混ざれば、販売可否以前に権利侵害です。素材の管理は自分で説明できる状態にしておいてください。
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まとめ
ReActor は 「自分のキャラの顔が揺れたコマを、後から揃える」 ための補正道具です。同一性の主軸は キャラLoRA か IP-Adapter に置き、ReActor は仕上げに回す——これが破綻の少ない使い方です。
そして最後にもう一度。実在する誰かの顔を性的な画像に合成しないでください。 それは技術の使い方の問題ではなく、人を傷つける行為であり、法的責任を負う行為です。この一線だけは、どんな理由でも越えてはいけません。





