Stable Diffusionをしばらく触った人が次に手を伸ばすのがComfyUIです。ノード(箱)を線で繋いで処理の流れを組むGUIで、動画や複雑な合成、他人のワークフローの再現に強い一方、「ノード?」で立ち止まる人も多いです。
この記事は「導入から最初の1枚を出す」までを、詰まりがちな順に潰していきます。細かなクリック手順は配布サイトが最新なので、ここでは全体の見取り図と、迷ったときにどこを見るかを優先します。
WebUIをまだ入れていない人は、先にそちらを覚えてから来ても遅くありません。導入は Stable Diffusion WebUI導入ガイド2026 にまとめています。
ComfyUIとは何か
ComfyUIは、画像生成の一連の処理を**ノード(箱)と線(エッジ)**で組み立てるGUIです。Load Checkpoint(モデル読み込み)、CLIP Text Encode(プロンプトを潜在空間に変換)、KSampler(拡散処理)、VAE Decode(画像化)、Save Image(保存)といった処理単位がすべてノードになっていて、線で繋いで実行します。
WebUIが「フォームに入力して送信するアプリ」だとすると、ComfyUIは「小さな関数を線で結んで実行する処理エディタ」です。最初は面倒に感じますが、慣れるとパイプラインを部分単位で組み替えられるので、動画や複雑な合成では圧倒的に扱いやすくなります。
WebUIとの違い
用途によって向き不向きがはっきり分かれます。
| 観点 | WebUI(A1111 / Forge) | ComfyUI |
|---|---|---|
| 初見の分かりやすさ | 高い(ボタンで完結) | 少し要る(ノードの読み方を覚える) |
| 単発の生成 | 速い | 同等 |
| 動画・複雑な合成 | 拡張で頑張る | 得意(ノードで組める) |
| 他人のワークフロー再現 | 難しい | 簡単(.json をロードするだけ) |
| VRAM効率 | 標準的 | ノード単位で最適化しやすい |
| 拡張の入手 | 拡張タブ | ComfyUI-Manager |
| 学習の壁 | 低い | 中くらい |
「どちらが正解」ではなく、単発の生成や試行はWebUI、動画や連作の量産、他人のワークフロー再現はComfyUI、という併用が現実的です。両方入れておいて、用途で開くソフトを分けるのがいちばん速く進みます。
導入手順(大枠)
細かい手順は配布ページとバージョンで変わるので、流れだけ書きます。実際のコマンドは ComfyUI公式リポジトリ(comfyanonymous/ComfyUI) の最新READMEを見てください。
Windows
配布ページから**Portable版(ComfyUI_windows_portable)**を落として展開する方法が最も簡単です。zipを解凍したら中の run_nvidia_gpu.bat(NVIDIA GPUの場合)を叩くだけで起動します。GitやPythonの手動設定は要りません。
AMDやIntel GPUの人は、その旨がREADMEに明記されているのでそちらの手順に従います。
Mac(Apple Silicon)
Portable版はWindows専用なので、Macは手動インストールです。Python 3.10〜3.12、gitがある前提で、リポジトリをclone → 依存パッケージをインストール → main.py を実行、という流れです。M系チップならMPS対応の依存を入れます。SDXLはメモリを大きく食うので、統合メモリ16GBだと厳しい場面が出ます。
Linux
手動インストールが基本。CUDA環境が整っていれば、cloneして依存を入れて起動、で終わります。ヘッドレスサーバーに入れて、SSHポートフォワードでブラウザから開く運用も現実的です。
クラウドで動かす
自分のPCに強いGPUがないなら、Google Colabで動かす選択肢もあります。詳細は Google ColabでStable Diffusionを無料で動かす方法 を見てください。無料枠は接続時間の制約が厳しいので、常用するなら有料プランかRunPodなどのクラウドGPUが現実的です。
モデル・VAE・LoRAの配置場所
ComfyUIは配置場所が決まっています。ここが違うとUIの一覧に出てきません。
| ファイル種別 | 配置先(ComfyUI直下) |
|---|---|
| Checkpoint(モデル本体) | models/checkpoints/ |
| VAE | models/vae/ |
| LoRA | models/loras/ |
| ControlNet | models/controlnet/ |
| Embeddings(Textual Inversion) | models/embeddings/ |
| Upscaler | models/upscale_models/ |
WebUIの資産を共有したい人へ:ComfyUI直下の extra_model_paths.yaml.example をリネームして extra_model_paths.yaml を作り、WebUIのパスを書いておくと、同じモデルを両方から参照できます。ディスクを二重に食わずに済むので、両方入れるなら最初に設定しておくと後が楽です。
配置したのに一覧に出ないときは、UI右パネルの Refresh(🔄)ボタンを押してください。ここで詰まる人が最も多いです。
最初の1枚:デフォルトワークフローを読む
起動直後の画面には、デフォルトのワークフローがすでに配置されています。これが5段構成で、Stable Diffusionの動作を最短で見せてくれる標準形です。
- Load Checkpoint — モデルを読み込む
- CLIP Text Encode(Prompt) — ポジティブとネガティブのプロンプトを潜在空間に変換(2つある)
- Empty Latent Image — 空の潜在画像を用意(解像度はここで決める)
- KSampler — 拡散処理の本体。seed・steps・cfg・sampler・denoise を設定
- VAE Decode — 潜在画像を実際の画像に変換
- Save Image — 保存
線は「その出力が次のノードの入力になる」ことを意味します。KSamplerが中心で、そこにモデル・プロンプト・空の潜在画像・seed情報が集まり、出た結果をVAEで画像化して保存、という流れです。
Queue Prompt ボタン(右パネル)を押すと、このフローが実行されて画像が出ます。まずここまで到達したら、ComfyUIの初期突破は完了です。
プロンプトの型はモデル依存
デフォルトワークフローで良い絵が出ないときは、モデルの流儀に合わせたプロンプトが必要なだけです。Pony系ならスコアタグ、Illustrious/NoobAI系ならDanbooruタグの語彙が要ります。それぞれの流儀は Pony Diffusion完全解説 と Illustrious / NoobAI完全解説 にまとめています。
ノードの追加・削除・繋ぎ替え
ノード操作の基本は次の4つです。
- 追加:画面上でダブルクリック、または右クリック → Add Node → カテゴリから選ぶ
- 削除:ノードを選択して Delete キー
- 接続:ノードの右端(出力)から左端(入力)へドラッグ
- 切断:線をクリックして選択 → Delete
ノードの色や形は「型」を示します。オレンジ丸はCLIP、紫はモデル、ピンクはLATENT、緑はIMAGE、といった具合に、同じ色の口同士しか繋がりません。線が繋がらないときは、色(型)を確認してください。
間違いを恐れないでください。 ノードは何度でも組み直せるので、まずデフォルトを複製してから触り始めるのがおすすめです。全部消してしまっても、右クリック → Load Default で戻せます。
ワークフローの保存とインポート
ComfyUIの強みはワークフローをそのまま .json で持ち運べることです。他人が公開したワークフローを丸ごと再現できます。
- 保存:右パネルの Save →
.jsonとして保存 - 読み込み:Load →
.jsonを選ぶ - PNGからの復元:ComfyUIが保存した画像にはメタデータとしてワークフローが埋め込まれているので、画像を画面にドラッグ&ドロップするだけで元のワークフローが復元できます
Civitaiの作例やRedditのAIコミュニティで公開されるワークフローは、画像をドラッグするだけで実行環境が復元されるのがComfyUIの魅力です。試したい構成を人の作例から取り込み、そこから触り始める、という進め方が最も学習効率が良いです。
カスタムノード(ComfyUI-Managerを最初に入れる)
素のComfyUIだけでは限界があります。動画拡張、ControlNet、便利ノード群はカスタムノードという形で追加します。手動で入れることもできますが、ComfyUI-Managerを入れると全部これ1本で完結します。
ComfyUI-Managerを入れると次のことが自動化されます。
- カスタムノードの検索・インストール・更新
- 他人のワークフローで使われている不足ノードの自動探索
- モデルファイルの検索・ダウンロード
- 破損した依存の修復
導入は ComfyUI-Manager(ltdrdata/ComfyUI-Manager) を custom_nodes/ フォルダにcloneするだけです。起動すると右パネルに「Manager」ボタンが追加されます。
最初に入れておくと便利なカスタムノード
用途が定まってから追加すればよいので、最初から全部入れる必要はありません。「これを触るなら」の目安として次を挙げておきます。
| 用途 | 候補ノード群 |
|---|---|
| ポーズ・線画で制御したい | ControlNet系ノード(ControlNet入門) |
| 顔・手を自動修正 | Impact Pack(Face Detailer など。ADetailer相当 → ADetailer完全ガイド) |
| 高解像度化 | Ultimate SD Upscale、tiled系ノード |
| 動画を作る | AnimateDiff Evolved、Video Helper Suite |
| 参照画像から寄せる | IP-Adapter Plus(詳細は本サイトのIP-Adapter記事) |
NSFW用途で気をつけること
ComfyUI本体はモデルを差し替えるだけなので、NSFW対応モデルを使えば普通に成人向けが作れます。技術的な制約はモデル側にあります。
ただし、次はどの環境でも共通です。
- 実在人物のディープフェイクは作らない(法的リスクが最大)
- 未成年連想は作らない
- 公開・販売する場合は各プラットフォームの規約を最新で確認
商用販売の考え方は AI画像生成の著作権・法律ガイド2026 と FANZA同人でAI CG集を出す完全ガイド にまとめています。
VRAMと解像度の目安
ComfyUIはノード単位で処理をチューニングしやすいので、VRAMが少なくても工夫の余地があります。
| VRAM | 現実的な範囲 |
|---|---|
| 6GB | SD1.5でギリギリ。SDXLはTiled VAE併用で頑張る領域 |
| 8GB | SD1.5快適、SDXLは工夫(低解像度+Hires.fix、Tiled VAE) |
| 12GB | SDXL・Pony・Illustrious系が実用域。動画はまだ厳しい |
| 16GB | SDXL+LoRA複数、短い動画が視野 |
| 24GB以上 | 動画・高解像度・複雑なパイプラインが快適 |
詳細な最適化は GPU別最適設定ガイド を見てください。VRAMが足りない場面での対処順(解像度を下げる → Tiled VAE → --lowvram → CPU offload)も同じ記事にまとめています。
よくあるトラブルと対処
モデルが一覧に出ない
配置場所か、Refreshボタン。順に確認してください。
models/checkpoints/に置いたか(サブフォルダ内はOK)- 拡張子が
.safetensorsまたは.ckptか - ダウンロードが途中で切れていないか(サイズを比較)
- UI右パネルの Refresh(🔄)を押したか
ノードが赤い(未解決ノード)
他人のワークフローを読み込むと、自分の環境に無いカスタムノードが赤く表示されます。ComfyUI-Manager の「Install Missing Custom Nodes」で自動探索できます。
VRAM不足で落ちる
対処の順番は次のとおりです。
- 解像度を下げる(1024→768→512)
- バッチサイズを1にする
- Tiled VAE系ノードを使う(VAE Decodeの代わりに)
- 起動オプションに
--lowvramを追加 - それでもダメなら Google Colab や有料クラウドGPU
VAEデコードで落ちる場合は Tiled VAE で解決することが多いです。
生成された画像の色が変
VAEが噛み合っていない可能性が高いです。Load Checkpoint のVAE出力を直接VAE Decodeに繋ぐか、Load VAE ノードでモデル指定のVAEを明示的にロードしてください。VAEの仕組みは VAEガイド にまとめています。
起動時にエラーで落ちる
依存パッケージのバージョン不整合が典型です。ComfyUI-Manager の「Restore Dependencies」やREADME記載の再インストール手順で戻せることが多いです。カスタムノードを入れすぎた直後にエラーが出るのはよくある話なので、慌てず、直前に入れたノードから疑ってください。
WebUIから乗り換えるべきか
正直に言うと、乗り換える必要はありません。併用が最も現実的です。
- 単発の生成、気軽な試行、拡張機能で手軽に高機能化 → WebUI(Forge推奨)
- 動画、複雑な合成、他人のワークフロー再現、連作の量産 → ComfyUI
私の推奨は、まずWebUIを一週間使い込んで基礎を覚えたら、ComfyUIも入れて共存させる、です。両方に慣れると、目的別に開くソフトを分けられるようになり、迷いが減ります。
WebUIとの資産共有は先述の extra_model_paths.yaml で解決できます。ディスクを無駄にしない共存の構え方は覚えておくと後で効きます。
まとめ
- ComfyUIはノードで組む生成環境。動画・連作・他人のワークフロー再現に強い
- 導入はWindows Portable版が最短。MacとLinuxは手動インストール
- モデルは
models/checkpoints/、LoRAはmodels/loras/、VAEはmodels/vae/ - 最初のフローは Load Checkpoint → CLIP Text Encode → KSampler → VAE Decode → Save Image の5段
- ComfyUI-Managerを最初に入れる。カスタムノードの管理はこれ1本で足りる
- WebUIとは併用でOK。乗り換える必要はない
覚える手順は少ないので、初日で「最初の1枚」までは到達できます。難しく感じるのは、他人のワークフローを読み解くフェーズからです。そこは作例を1つ選んで、ノードを1個ずつ辿って役割を理解する、を繰り返すのがいちばん速いです。
次に読む
- 環境を最適化したい → GPU別最適設定ガイド
- モデルを選ぶ → Illustrious / NoobAI完全解説 / Pony Diffusion完全解説
- LoRAで表現の幅を広げる → LoRA選び方ガイド
- モデルとLoRAを探す → Civitai完全活用ガイド2026





